それでもカレーが気になるの!1

2018年8月9日

いくら食べ物で母乳の質(という言い方もどうかとおもいますが)は変わらないし、乳腺炎の原因ともならない、と言っても、世間では「母乳には食べ物が関係する」とよく言われるので、本当なの?それでも気になるわ、と思う方は多いと思います。お宮参りで乳腺炎1 2 3 で書いたように、食べ物が直接原因となる科学的根拠は今のところありません。
それでも、この前sariが問われたのは「それでもカレーが気になるの!」です。乳腺炎だけでなく、赤ちゃんに影響があるのでは?と聞かれました。
市販のカレールーは油が多く含まれているといわれますが、食べ物中の油については↑の乳腺炎シリーズでかきました。油のほかに、強い香りのスパイスは?という疑問を考えてみたいと思います。
あるメーカーのサイトでカレールーに入っているスパイスを調べましたが、表示は単に「カレーパウダー」と書かれているだけです。sariはカレーは市販のルーを使わないネパール風カレーを作るときがあります。そこでそのカレーに使うスパイスについてちょっと調べてみます。
もちろんインドやネパールの人は人工乳ができる前からそのようなスパイスを使ったお料理を日常的に食べているはずですので、そのようなスパイスが母乳を通して赤ちゃんに悪影響を及ぼしたとは考えにくいです。
日本人なら和食を食べるべきという方もおられますが、すでにカレーは日本人になじんだ食事であるように思います。もし赤ちゃんがおなかの中でお母さんの食べたものの影響を受けるなら、結構な割合の赤ちゃんがすでにカレーに親しんでいるように思います。そもそも国際結婚したり移住したりして海外で暮らし、現地の食事を食べて母乳育児をエンジョイしている日本人のお母さんはたくさんいます。母乳中の食事に関してだけ先祖帰りする必要があるのかどうか、sariは疑問に感じます。
IBCLCのLinda Smithさんの Comprehensive Lactation Consultant Exam Review 2nd edition にはカンタロープ(メロン)をお母さんが食べると母乳はメロンフレーバーがすると書いてありました。香りの成分は分子がとても小さいので母乳中に移行すると考えられています。
さて、Medications and Mothers’ Milk 2012 にはハーブ類も掲載されています。この本は薬剤と母乳というタイトルで2008年版が日本語訳で存在します。この本ではHale博士の授乳中におけるリスク分類がされています。L1-L5まで、数字が小さいほど安全です。L1はもっとも安全 L2は比較的安全 L3は中等度の安全 L4は悪影響を与える可能性あり L5は禁忌となっています。L3は授乳中の対照試験がないけれど赤ちゃんに不都合な影響がある、もしくは対象試験があってもごく軽い危険性のない有害作用しか示されていない薬とされています。論文になったデータがまったくない場合は安全と考えられても自動的にこのカテゴリーに入るのだそうです。例えばにんにくはL3です。
この本には、授乳中に禁忌のハーブ薬の表もあります。
この本にないものは、IBCLCであるSheila HumphreyさんのThe Nursing Mothers’ Herbalで調べることにします。
こちらはA-Eで表記されています。Aは比較的議論を引き起こさないもの Bは自分で使うには不適切かも。信頼できる情報を探す。Cは使う前にハーブの専門家に相談、量によっては毒性の可能性 Dは処方が必要、医師の監督なしに使わない。Eは禁忌 です。ちなみにこの本ではにんにくはBです。
ここではランクしか書きませんが、本にはより詳しい情報が載っています。
次回に続きます。
参考文献
Comprehensive Lactation Consultant Exam Review 2nd edition Linda Smith
Medications and Mothers’ Milk 2012 Thomas W.Hale Ph.D.
The Nursing Mothers’ Herbal Sheila Humphrey

授乳中

Posted by sari