コミュニケーション
前回を踏まえて会話について。最近聞いた言葉が心にひっかかっています。
それは、病院のスタッフに言われた
「もうちょっとがんばれば母乳だけで退院できたのにね」
という言葉。
ちょっと分析してみます。
スタッフは、あと少しで母乳だけになれたところなのに惜しかったね。
という気持ちなのかもしれません。もしかしたら、いやぁよくがんばったよ、とねぎらっているつもりかもしれません。
お母さんにとってはどうでしょうか?
もうちょっとがんばれば => がんばりがもっと必要だった?=私のがんばりが足りなかった?
と感じるかもしれません。
がんばるというのが主観的な見方であるので、さまざまないきちがいが生じやすい言葉かもしれません。
出来るだけのことをした状況でさらに「もうちょっと~」と言われれば、これ以上なにを具体的にしたらいいか悩んでしまいそうです。sariはさらに何をしたらいいのかわからないことで、自分は母としてなにか問題があるんじゃないか?と自信を失っていました。楽しい赤ちゃんとの生活、なんて言葉は程遠かったです。
支援者が科学的根拠ある情報提供なしに「がんばれ」と口にするとお母さんは何をしていいかわからず、根性論なの?と捉えることもあります。実際、母乳育児って昔の部活みたいにガンバレガンバレなんでしょ。出来る人にしか出来ないのよ、という言葉もきいたことがあります。何をしていいのかわからない憤りの感情があるかもしれません。
もちろん、「がんばってますね」というねぎらいはOKです。言われたらうれしいですよね。
何かやるべきことが実はあるとしても、
「もうちょっとがんばって**してみて」というのと
「よくがんばりましたね。それで**してみたらもっとうまくいくかもね」
といわれるのとでは、気持ちが違ってきそうです。
久しぶりにミーナさん
過去は変えられないので、それを問題にするような言葉はお母さんを苦しめることもあるかもしれません。
こんな風に言われるんだったらそもそもの原因である母乳育児をやめたほうが楽でいいと感じるお母さんもいるかもしれません。実際sariの出会った中には、いろいろ言われるのがいやで母乳をやめるという選択をした人もいました。とはいえ、過去にまったく触れてはいけないのではなく、適切な話し方があります。
そのことは「母乳育児支援コミュニケーション術―お母さんも支援者も自信がつく」(南山堂)という本に、上の子の育児がうまくいかなかったと思いこんでいるお母さんの例で載っています。
前回も書きましたが、WHOもUnicefもコミュニケーション、カウンセリングのスキルについて触れています。医学的知識だけ話せばいいというのではなく、うまく伝わる伝え方を重視しているようですね。
参考文献:母乳育児支援コミュニケーション術―お母さんも支援者も自信がつく 南山堂
ピープル・スキル 人と“うまくやる”3つの技術 宝島社
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