乳腺炎: じゃあ詰まっているのはなに?
お宮参りで乳腺炎 2 脂肪について考えました にて脂肪が乳管に詰まるか、という話をしました。ざっとまとめると
1)乳管に比べてごく小さく、お互いくっつきあう性質のない脂肪球だけが、液体が流れている乳管内にびっしりと詰まってしまうことは考えにくそうなこと
2)血管が詰まる病気の場合、詰まったものは脂肪ではないこと。直接血管内に詰まるのではなく、血管内膜から血管の壁の内側にマクロファージとコレステロールが入り込み、結果として血管の壁が厚くなり、血管の内部の血液の流れるスペースがせまくなり、最終的に血液の流れがそこで滞ること。つまり時間がかかる。
ということを書きました。
が、実際乳腺炎でしこりを感じるときに搾ってみたら乳管から白い糸のようなものが出ることがあります。
じゃあ、あれは脂肪ではないの?と不思議に思いますよね。
このことは「母乳育児支援講座 南山堂」の174ページあたりに詳しく出ています
乳汁が濃くなってねばねばしてくるのは、乳管内の乳汁から水分が失われるからなのだそうです。
人間の体は水分がたまると吸収するように出来ているんだそうです。たしかに指先に水ぶくれが出来ても、必ずしもつぶさなくても治っていくということはありますね。
つまり、食べたものがすぐさま乳管に届いてその普段より多い脂肪分のせいで詰まる、というよりも、母乳の流れが滞ってある程度の時間乳管に母乳があると、母乳中の水分が失われ、どろっとしてくるということになります。
ここであれ?と思うのは、前乳と後乳で書いたように、後乳のほうが脂肪分が見てわかるほど多いのです。
だけど、毎回詰まっているわけではありませんよね?
そして人間の乳房は「空っぽ」にはならないんだそうです。常に母乳は乳腺組織にある。
だけど、毎日詰まっているわけではない。
じゃあ何が違うんだというと、母乳の流れが滞っている、というのが可能性が高そうです。
授乳間隔が開いてしまった、服やバッグ、抱っこ紐で乳房を圧迫した、のような滞る原因が多いように思います。
やわらかな風の吹く場所に:母乳育児を応援という産科医戸田さんのブログでも、乳腺炎になった方に詳しく話を聞いてみると、授乳間隔や授乳姿勢の問題が必ずいっしょにおきているという経験が載っています。
ここで実験です
母乳100gには水分が87.6g 残りが固形分12.4gです(母乳育児支援スタンダード107ページより)そのうち脂肪は3.4gです。
五訂:日本食品標準成分表によると牛乳103.2g(100ml)中に水分は87.4g 脂肪は3.8gです。
そんなに大きく差はなさそうですね。
ミルクジャムというお料理があります。牛乳と砂糖をなべで煮詰めていくだけのお料理です。
それを牛乳500ccだけ、砂糖なしで作ってみました。
ちょっと焦がしてしまいました(^^;
完成品は温かいうちはどろっとしていて、冷めるとカップをひっくり返しても落ちないくらい固まってます。
sariも詰まって糸状のながーいモノが出てきた経験があるのですけど、それに似ていると思います。
参考文献:
母乳育児支援講座 南山堂
母乳育児支援スタンダード 医学書院
文部科学省 五訂増補日本食品標準成分表 →人乳の成分も載ってます!!(驚)
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