水分について
レミさんも、ミーナさんより少し後に赤ちゃんが無事生まれました。
レミさんはレミさん自身のお母さんから、母乳を出すためのプレッシャーを感じているようです。
レミさんのお母さんはきっとよかれと思って言っているのでしょうけど、レミさんには負担な様子です。
お母さんの場合は、立派に子(レミさん)を育てた!という自負もあるでしょうし、自分の経験からよかったと思うことをつい勧めすぎてしまうのかもしれません。
授乳中の水分摂取については、妊娠・出産ケアガイド 安全で有効な産科管理(医学書院MYW)に載っています。この本は統計調査から得られた結論に基づいて書かれた本です。全ての人にあてはまるとは限りませんが、科学的根拠のある方法とされています。
引用
対照研究の結果によれば、母乳育児中の母親が水分摂取を増やせば乳汁分泌がよくなるという証拠はない。
だそうです。またBreadtfeeding and Human Lactation 3rd editionという分厚い本には、必要以上の摂取は分泌を減らすと書いてあります。
喉の渇きに応じて飲めばよいのですが、忙しいお母さんは忘れてしまうかもしれないので、簡単な方法として授乳するたびに水分をとることが書かれています。尿の色にも注目して、濃い色の尿ならばもっと水分が必要かもしれません。食べ物の中にもたくさん水分が含まれています。
健康な赤ちゃんは生後6ヵ月は母乳だけでほかの水分は必要としません。母乳の87.6%は水分です。実際生後6ヵ月母乳だけで健康に育つ赤ちゃんがたくさんいます。
食べ物に関しては、世界中にこれが授乳中にはよいというような文化がたくさんあります。それを尊重しながらバランスよく食べればよい、くらいの記述しか見つけられませんでした。
意外と知られていないのが完全な菜食主義の場合はビタミンB12が欠乏する可能性があることです。サプリメントなどで補う必要があると書かれています。アレルギーなどの心配のため、医師の判断ではなく自己流で食事制限を厳しくしすぎた場合にある種のビタミン、ミネラル類が足りなくなり、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあるそうです。
レミさんはハーブなども気にかかるようです。
The Womanly Art of Breastfeeding 8th Edition には西洋の文化でよいといわれるもの、やめといたほうがいいものが載っています。例として大量のパセリ、セージ、ペパーミントは避けると書かれていました。
ちなみに、「薬剤と母乳」をぱらぱらっとめくるとハーブについても書いてありました。
例えば、ガーリック(にんにく)は母乳中に匂いが出ることが証明されている、のだそうです。たしか他の外国のテキストにもカンタロープ(メロン)をお母さんが食べると母乳はメロンフレーバーがする、と書いてありました。
ハーブは種類とともに、どれだけの量を取るかということも関連してきます。Dr.Jack Newmanというカナダの医師、IBCLCはある種のハーブを使うことがあるそうなのですが、その量はお母さんの身体からそのハーブの匂いがするくらい、お茶では取れない量を使うそうです。
まだハーブに関しての研究は多くはないようです。
Breastfeeding and Human Lactation 3rd edition には、1日2600kcalとるとお母さんの体重は減らない、最初の6ヵ月に1日1500kcal以下なら母乳の量に影響するとありました。カロリー制限のダイエットをしようと思ったことのある方なら、この数字以下にするのはとても難しいと感じると思います。(この数字は常にこのカロリー以下、ということみたいです。災害時の話はまた別です)
母乳の産生量を増やすには、FIL(母乳分泌抑制因子)を作用しにくくすることが今知られている中ではもっとも確実な方法です。そのためには、赤ちゃんが母乳を効果的に飲みとり、なるべくお母さんの乳房に中にある母乳量が少なくなるようにすることが必要です。そのために適切な飲み方が出来るようにする必要があります。
たくさん母乳を作っても、飲み取れなければお母さんの胸の張りが高まり、乳腺炎などのトラブルにもつながります。またその後FILの作用で産生が減る可能性があります。
そうならないためにも抱き方、くわえ方がまず第1に大切です。
参考文献:妊娠・出産ケアガイド 安全で有効な産科管理 医学書院MYW
Breadtfeeding and Human Lactation 3rd edition
The Nursing Mother’s Herbal
The Womanly Art of Breastfeeding 8th Edition
Medications and Mothers’ Milk 2012
→上の翻訳(2008年度版) 薬剤と母乳
母乳育児が必ずうまくいく本 誰もが知りたかった知恵とコツのすべて
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