ミルク(人工乳)ついて 2

前回の続きです。
ミルク(以下人工乳)の売り方によっては、赤ちゃんとお母さんに不利益をもたらすことがあります。
それを防ぐために「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準(以下、国際規準)」があります。
この国際規準の中身についてみていきます。主にお母さん向けのところだけ、いくつかかいていきますね。
対象は母乳代用品。これは生後6ヵ月未満をターゲットにした乳児用食品、飲料です。それにプラス、人工乳首も含まれます。まずびっくりするのが、「一般向けに宣伝してはいけません」なのです。
雑誌、母子手帳の副読本や母親学級でもらったものの中にも結構広告がありますよね。国際規準にてらしあわせれば、これは基準違反となります。
試供品の配布も国際規準違反です。サンプルもらうとうれしいですが、母子の健康に不利益をもたらす可能性のある行為なので、サンプル配布は違反となります。
あと、人工乳のパッケージ(缶)に健康そうな赤ちゃんの写真やイラスト、人工乳を理想化するような言葉を書くのも国際規準違反です。
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というわけで、むかって右のイラストの人工乳の缶は国際規準違反となります。
一般に広告でみちあふれた世の中では、広告がいけないなんて母乳支援の人は過激なのでは?と思われることがあるようです。たくさんのお母さんが、本当に不足しているのは母乳ではなく自信と支援であるという状況にいます。母乳だけでまるまる育っている赤ちゃんのお母さんであっても、赤ちゃんが少しでも泣けば「母乳が足りないせいだわ」と産院でもらったサンプルの人工乳を与えることから母乳育児がうまくいかなくなることはよくあります。実際そんな話も多く聞いてきました。
人工乳を選ぶときにドラッグストアに行ってみると、色とりどりのキャラクターで飾られた人工乳コーナーがあります。値段もさまざまで(実は安売りは国際規準違反です)、2つ買えばお得!のようなキャンペーン、クーポンを集めればプレゼントがもらえるキャンペーン、ファッショナブルな哺乳びんなど、さまざまに趣向を凝らした(=買いたいと思うような)広告がなされています。人工乳の成分や特徴については、缶の裏の細かい文字を読む必要があります。選ぶときに赤ちゃんの健康を考えるならば、本当に読むべき情報がもっとクローズアップされてもいいのでは、とsariは思います。広告と必要な情報を提供することの違いを考えたいと思います。
次回は、では海外ではどうなの?という話の予定です。
参考文献:母乳育児支援ネットワーク 
母乳の政治経済学 ガブリエルパーマー著(科学と人間)

母乳育児の文化と真実(メディカ出版)

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Posted by sari