ニップルシールド

入院中に痛みが出たのでニップルシールド(乳頭保護器)をすすめられた、という話はよく聞きます。
使って痛みが減った方の中には、友人に相談されたときにニップルシールドを使えばいいのよ、とおすすめするかもしれませんね。
ニップルシールドには2タイプあります。
1:哺乳瓶の先と同じ形のもの
2:薄いシリコンタイプ
1は現在すすめられていません。プロラクチン分泌に影響があるそうです。
使うなら2なのですが、2のタイプのパッケージに「痛みや傷に」と書かれているものがあります。日本語では「保護器」とあるのですが、痛みや傷から守るために「最初に」使うものではないのだそうです。
そもそもずっと書いてきたように、飲み方と抱き方を改善すれば大抵の場合痛みや傷は避けられますので(カンジタなどの場合を除く)、その対処をしないままニップルシールドを使っても、根本的な解決となりません。痛みや傷は予防するのが一番なので、効果的な授乳方法を産前から知っておくことが大切です。
陥没や扁平といわれる乳頭の形に使ったほうがいいという話も聞きます。
実は妊娠中に乳頭・乳房に何かすることが産後役に立つというエビデンスがないんだそうです。効果が認められなかったという研究もありますし、妊娠中に何かしたほうが母乳育児率が有意に低下しているという研究もあるそうです。
やってみなくてはわからないのが母乳育児ですし、産後も変化していくので、妊娠中から「自分はこうだから」と落ち込む必要はなさそうです。「これじゃあ難しいかも」と落ち込んじゃうような言葉をかけられても、それが正当性のある予言だとは言い切れません。かえってそんな言葉がお母さんを落ち込ませたり、うまく行かないときにやっぱり言われたとおりダメなんだと自信が揺らいで根拠のない予言を実現させることにもなりかねません。これは妊娠中の話だけど、生まれてすぐにニップルシールドを使うことと気持ちの面で似ている状況にsariは感じます。実際妊娠中になにもしなくてもすんなりうまくいく例もありますから。
とはいえ、ほかの事をしてもうまくいかないときに試してみることはありだそうです。
使ってはいけないのではなく、まずは試してみる、ほかの有効なことを試してみてからの手段といえそうです。
ニップルシールドは赤ちゃんが効果的に吸い付けない場合に適用が考慮される。それでも問題に対する最初の解決法としての使い方は間違っているし、授乳の改善に時間を使う代わりに(支援者がお母さんに)提供するのも間違った使い方、とされています。
参考文献には早産で生まれた子でうまく飲み続けられなかったり、眠ってしまう子に使ったところ、飲む量が増え長く吸っていられるようになったという研究が紹介されていました。
そのような赤ちゃんが使う場合には、入院中でしょうから病院のスタッフが使い方を教えてくれると思います。
リスクもあって、飲んでいるように見えるのだけど実際は飲めていないケースや、サイズが合ってないものでトラブルが起きる可能性もあるそうです。また「ニップルシールドから卒業する」こともしなくてはなりません。
サイズ選びや使い方も慎重にする必要があります。
乳頭に簡単にのせるのではなく、シールドの乳頭部分を少し内側にへこませ、かぶせてぴったりと密着させます。
np.png
参考文献:Breastfeeding answers made simple Nancy Mohrbacher, IBCLC, FILCA
母乳育児成功のための10ヵ条のエビデンス WHO

授乳中

Posted by sari