母乳の栄養成分について

「そろそろ母乳は栄養がなくなるから、やめたら?」「1歳過ぎると母乳は水みたいなもので栄養ありません」とこの21世紀においても言われ続けているそうで、がっかりしているsariです。
1歳ごろになっても母乳の色は白いですよね。白い色は母乳中の脂肪であることは以前書きました。
脂肪が入っているということは、カロリーがあって栄養が入っているということです。こんな当たり前のことからも栄養がなくなるというのは妥当ではないとわかりますが、このことについて以前調査した研究があるそうなので紹介します。
日本の母乳育児について有名な山内逸郎先生です。小児科医でたくさんの功績を残されています。
その山内先生の著書「母乳についての22の手紙」(山陽新聞社) の135ページからです。厚生労働省から研究費が出て調査された研究ですが、残念な事に専門誌に論文としては発表されなかったそうなのです。
厚生省児童家庭局母子衛生課への報告書「新生児管理における諸問題の総合研究、研究報告書」昭和59年度(1984年ですね)で、生後2ヵ月、生後半年、生後1年半の21人のお母さん方の母乳を超微量分析法で分析されています。きっかけはお母さん方の、この記事の最初に書かれたような栄養がなくなる、というのは果たしてどうなのか?という疑問からだったそうです。
母乳はあげ始めとあげおわりでは組成が違うし、朝晩でも違う可能性があるということで、朝晩おのおのの、あげはじめ、なかほど、終わりごろの母乳を少しずつ取ったそうです。
分析した結果、統計学的に
生後2ヵ月、生後半年、生後1年半でタンパク・脂肪・熱量には差がない
乳糖だけ1年半で濃度が濃くなったのだそうです。(そのほかナトリウムカリウムを測定されています。)
つまり、生後1年たったからといって栄養成分は変わらない、のです。
栄養だけではなく、免疫に関与する物質も多く含まれ続けるということも多くの文献にありました。
参考文献:
母乳についての22の手紙(山陽新聞社)
だれでもできる母乳育児(メディカ出版)
母乳と環境(岩波ブックレット)
Breastfeeding and Human Lactation
Breastfeeding Answers Made Simple

卒乳

Posted by sari