卒乳について

卒乳の話をだいぶ前に書いたきりでした。
まず「卒乳」という言葉を考えます。sariが最初の子の子育てをした頃はポピュラーな言葉ではありませんでした。断乳のほうがポピュラーでした。読んで字のごとく「母乳をお断りする」というイメージで、主語は母のように思います。
卒乳は「母乳を卒業する」で主語はどちらかというと赤ちゃんのように思います。実際、赤ちゃんの自然な発育にまかせた「自然卒乳」という言葉の代わりとして用いられることもありました。
現在では「卒乳」という言葉はとにかく「母乳を飲まなくなること」としてとらえられているようです。英語のweaningのようなとらえ方です。(ただし、英語のweaningは元々satisfaction満足する、という言葉から来ているらしいです Breastfeeding Answers made simple 179ページより)
ですので、子育てした年代によって、「卒乳」にはいろいろなイメージがあることでしょう。
ABM(The Academy of Breastfeeding Medicine)AAP(American Academy of Pediatrics ) ,UNICEF,WHO,CDC(Centers for Disease Control and Prevention) など、多くの団体が1歳以上、望むだけ長くてもいいと言っています。
メリットとして、長く飲むことで病気に対する抗体を得られるということはよく言われます。保育園に預けるときに母乳を飲んでいると病気にかかるリスクを減らせるかもしれないと期待して授乳を続ける方もおられます。
ただ、統計的にはメリットはあるのですが、個人差があります。早くやめたけど病気にかからない子もいれば、長く飲ませていてもよく風邪を引くお子さんももちろんいます。(ちなみに母乳は薄くなりません。科学的根拠をどうぞ)
やめることについてですが、周りからのプレッシャーやアドバイスよりも、情報を取捨選択してお母さんと赤ちゃんがやりたいようにできればハッピーなのだとsariは思います。
卒乳経験談は「やめるときにこんなにたいへんだった」もしくは「やめたらこんないいことがあった」という話が話題に上りやすいです。苦労話ってしたくなりますよね。そしてやめてよくなかったという話は失敗談を語るようなものなので気心知れた場でしか話されないかもしれません。
もし、やめてよかった話しか聞いていない場合は、そうではないケースも知っておいたほうが判断の材料が増えます。
よくあるのが、やめたらよく寝るようになった、というとっても魅力的な話です。ですが、意外とやめても寝ない、という話も多いんです。
「今困っている状況を改善するのに卒乳が解決策なんだ」という期待が、妥当性のあるものかどうかちょっと考えてみるのもありです。もしかしたらその状況は授乳のせいではない可能性もあります。
一度にやめると乳腺炎になるリスクがある。必要があって急にやめるときはそうならないような情報、もしくは支援を受けられるとよいでしょう。
徐々にやめるほうが、お母さんの体にも赤ちゃんにも負担が少ないといわれています。
お母さんから積極的にはやめる働きかけをしないという方法もあります。
また部分的に卒乳する、夜だけ卒業や昼間だけ卒業など、ライフスタイルと子どもの個性に応じて臨機応変に対処している方もいます。
時期は人それぞれ。早いからいいわけでも遅いからいいわけでもない。まして他人のことを評価するような姿勢は避けたいものです。つい自分にとってよいと思った事は「こうすればいいのよ」とアドバイスしたくなりますが、それが聞いた人にプレッシャーを与えることにもなりかねません。
「私はこうだったわ。それで○○と思っている(○○は感じた気持ちの言葉)」という話なら、聞いたほうも情報のひとつとして客観的にとらえられるでしょう。さまざまな価値観を受け入れ、どんな選択をしても心地よい世の中であってほしいと思います。

参考文献:Breastfeeding answers made simple Nancy Mohrbacher, IBCLC, FILCA

卒乳

Posted by sari